お江戸あれこれ バックナンバー 1 2 3 4 5 6 7 8 
  宵待ちビビのいろはにお江戸*覚書 →人情掲示板でのお江戸あれこれ 
★放送を見ながら、気になったことをつらつら書いていきますが、多少、前後します。 ご了承くださいね。
第1回『清太郎は暑がり?江戸の暦は謎だらけ』
by ビビッドカラー
【安政の大地震と十八組】【口入屋から十六屋へ】
【藪井先生登場】【おまけ・《第1回》人情いろは歌留多】

【安政の大地震と十八組】
安政2年(1855年)10月2日午後10時頃、マグニチュード6.9の直下型地震で、約1ヶ月くらいは余震が続いていたそうな・・・。
日付にこだわったのは他でもない。中盤に出てきた「今夜は蒸すなぁ」と団扇をあおぐ清太郎の半裸が目に焼きついたから・・・というわけではないが、地震の日を基準にしてみても、この時期・・・新暦になおすと、かなり寒い時期だったはず・・・。一応、明治以前の年表に載っている月日は旧暦が前提ということになっているので、季節感が現代とは若干違うし・・。しかし、この旧暦、算出方法が実に難解!覚えたい方、二十四節気からお勉強してください。十六夜(いざよい)、十七夜(たちまち)など、十六屋さんの名前の由来も月の名前にも関係があるので、興味深い事実もでてくるのでは・・・。新暦から大体1〜2ヶ月くらいをマイナスするのが目安。
ドラマ的には、おかねさんとまどかの会話に、「なまずが騒いで、陽気がおかしいからな」(まどか)とあり、天変地異(地殻変動)の起こるときには、陽気がおかしくなるもので・・・ということで先手を打たれてしまったよ。

こよみのぺーじ:http://koyomi.vis.ne.jp/mainindex.htm

 

さて、お約束のように、半鐘が鳴り響き、火消し「十八組」の面々が屋根の上に・・・。
ん?「十八組」???
享保(八代将軍の時代)の頃の受け持ち区域一覧を見ると、瀬戸物町(十六屋さんち付近)は「い組」の管轄になっている。幕末の火消しとしても、かなり有名な新門の辰五郎さん(*1)の組と組番(十番組・を組)から推量しても、ここらへんの扱いを含め、「十八組」の組番をフィクションと片付けてもよいものかどうかは、実のところは、次回以降に持ち越し。(たぶん、架空だと思うけど・・・)
幕末の町火消しは、かなり台頭してきた組織で、お城の消火にも携わるようになっていったところからも、地域一体の世話役を担っていた部分もあったことだろうし、まぁ、後ろ盾っていうからには、今後、話の展開次第で関係性についてもわかってくるのでは・・・。

*1)・・・新門の辰五郎さん:小澤さんご出演の「徳川慶喜」で堺正章さんが演じた火消しの組頭さん。実在の方でございます。

 

火消しといえば「いろは四十八組」に分かれ、破壊消火で延焼を防いだ鳶(とび)職のスペシャリスト集団というのが当節、テレビ時代劇での扱い。纏(まとい)持ちと言えば、纏を高々と掲げて、「○○組」の火消し振りを近隣に宣言するという花形の役目を担っている。火災の最前線に乗り込む死と隣り合わせの危ないヒーローだけに、纏持ちに憧れているとはいえ、神聖な纏を振り回す「おくみ」を叱り付ける組頭(津嘉山さん・・・かっこよすぎ♪)のお父ちゃんの剣幕も当然か。
●いろは組・・・隅田川を境とした西側の区域に組織されたもので、「へ」「ら」「ひ」「ん」の四文字組は「百」「千」「万」「本」に変えている。「へ」は屁に、「ひ」は火に通じ、「ら」は隠語、「ん」は語呂が悪いというのが、その理由。江戸っ子だねぇ。(さらに、隅田川の東側の本所・深川には、区域を三つに分けて16組の火消組を置いていたとあるから、江戸の組織力と秩序はこういうところからも都市として機能していたことが垣間見える。)
●纏(まとい)・・組ごとに、いろいろデザインがあったらしい。さすが、「意匠センス抜群」の江戸文化!

河童ヶ淵:http://homepage1.nifty.com/saga-t/kappa/watashi/hikeshi.html

↑このページのトップへ

【口入屋から十六屋へ】
冒頭の女剣士風の装いといい、古着屋でサササ〜と男髪を結い上げるところを見ると、男装に手馴れている設定のようだ。「草の者(*2)」をイメージさせる走りっぷりといい、誰がやるのか、と個人的に注目していた父上、「森末慎二」さん!登場するのはもう少し後の方かと思いきや、くるりんぱ!(さすが、腐って鯛・・・元ロス五輪選手、お見事)竹細工師とは世を忍ぶ仮の姿なのか・・なんてね。話広げすぎ・・・(笑)

*2)・・・草の者:里山や野に住み、敵を探索したり撹乱する者。文字通り草のように、周囲には気づかれずに探索したい地に何年もかけて、とけ込みあたかもその地の土着のようにふるまい、情報収集活動を行う忍者。あ、でも、まどかは泳げないらしいので、草の者説は却下です(笑)!

●総髪・・・月代(さかやき)を剃らずに、束ねた髪型のことを指すが、まどかは若衆髷風に結ってある。ちなみに、平吉のように、商家の丁稚さん(小僧さん)の髪型は、奴頭という。

河童ヶ淵:http://homepage1.nifty.com/saga-t/kappa/watashi/hikeshi.html

 

江戸に出てきたまどかが口入屋でからかわれる場面。どう見ても女だろう・・という突っ込みをよそに、お小姓・美少年系に間違われたのも、現代よりは男色系に対してオープンな時代だったからか・・・(無理やり)。
●中村座の女形(おんながた)・・・立て女形(たておやま)とか若女形(わかおやま)などのように、上に形容詞が付く場合に「おやま」をつけるが、単独で「おやま」は遊女のことなので、、歌舞伎役者の場合は「おんながた」と称する。安政年間当時は、「4代目中村芝翫」・・・現在の芝翫さんは7代目、三田寛子の義理パパ。

立命館アートリサーチ:http://www.arc.ritsumei.ac.jp/theater/yakusya/ukiyoeten/shikan4.htm

 

●陰間茶屋で春を売る色子さん・・・陰間(かげま)=男色←詳しく説明したほうがいいかしら?(^^ゞ

●遅かりし由良介:平吉の家に急行したまどかと清太郎の場面。「とりかぶと」の毒を飲ませようとしている平吉を押さえ込んだときに、清太郎が思わず口にしたこの台詞。「仮名手本忠臣蔵」の有名な台詞で、現代でも「手遅れ」シーンに慣用句のように使われる。幕末当時もかなり芝居熱は熱かったらしい。

仮名手本忠臣蔵:http://www.kabuki.ne.jp/topics/20010202/con02.html

 

飛脚の説明はナレーションにも簡単に出てきているので割愛。
『ひとくちに飛脚といってもその種類はさまざまで、定飛脚問屋とは長距離輸送専門の業者です。運送料は高く、主な客は大店の商人や武家でなかなか一般庶民が利用できるものではありませんでした。ところが、この十六屋さん、なんと安くて便利な江戸御符内の配達も始めようとしていたのです。これは後に《町飛脚屋》と呼ばれるようになるのです。』
江戸ってどっからどこまでなの?っていう疑問に答えて、幕府のお偉いさんがお答えになったのがこれ↓。
●江戸御符内・・・江戸御領地内=正式に決定したのは、文政元年(1818)12月に老中阿部正精から「書面伺之趣、別紙絵図朱引ノ内ヲ御府内ト相心得候様」と、幕府の正式見解が示されたもの。その朱引で示された御府内の範囲とは、およそ次のようになる。(内訳としては、江戸の60%が武家屋敷、20%が寺社、20%が町地)
東 … 中川限り
西 … 神田上水限り
南 … 南品川町を含む目黒川辺
北 … 荒川・石神井川下流限り
現在の行政区画〜千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・品川区の一部・目黒区の一部・渋谷区・豊島区・北区の一部・板橋区の一部・荒川区

↑このページのトップへ

【藪井先生登場】
 色っぽい長唄のお師匠さんに間貸ししながら、いろんなことに手を染めている「藪井竹庵」、この人物も諸説いろいろあるお方で、市井の名医、悪徳医師、藪医者の起源、落語や芝居にも登場するなど、虚虚実実・・どうも実在の人物だったらしい。しかし、あまりにも別名詞のようにイメージが広まりすぎて、噂も先行したせいか、エピソードの大半は「架空の藪井竹庵」のしわざともあり。
●なまず絵の流行・・・藪井先生が瓦版に手を染めて・・・の下りにでてくる「なまず絵」には、「ちょぼくれ」の文字あり。なまずは地震と関係の深いものと考えられていたので、安政の大地震の後、「なまず絵」は地震よけのお守りとの扱いに。また「こんなひどい災害が起こるのは政治が悪いからだ、世の中すべてを新しく変えよう」という世直しの考えが生まれ、「地震をきっかけになまずが世直しをしてくれる」という願いを込めて「なまず絵」が売り出され、大流行したという。
●ちょぼくれ・・・ちょんがれ○[楽]⇒ちょぼくれ(ちょぼくれ) ちょんがれぶし
ちょんがれ節○(1)[楽]⇒ちょぼくれ(ちょぼくれ) ○(2)[古]浪花節の旧称。⇒なにわぶし(浪花節)
近世、亨保頃から始まった願人坊主の大道芸。錫杖を伴奏として、野卑な文句を口早に語り、ちょぼくれ・ちょんがれと、囃子詞を入れたので、こう名ずけたとあるが、“野卑な文句”とあるだけで、その内容は書かれていない。

清太郎が美味そうに飲んだ井戸水、等、お江戸の治水や町並みに関しては・・・また次回(あくまでも予定)!

参考:消防庁/「江戸の発達」東京都 1956年
岩波古語辞典/江戸・東京風俗資料(秋山書店)
江戸東京歳時記(吉川弘文館)

●主題歌・・・ちなみに、主題歌「朱い馬」から、赤馬(放火)を連想してしまいましたが、いいのかなぁ〜?

↑このページのトップへ

【おまけ】
《第1回》人情いろは歌留多

い:因果背負い込む 韋駄天飛脚 江戸の風切り ほーいほい (都) 
ろ:路地の裏 長屋井戸端 旨清水 (川)
は:腹掛けを 外し六尺 締めすがた 月明かりすら 弾くまぶしさ (狂)
に:人情話にゃ続きがあるさ 人の思案の先の先 (都)
ほ:ほの字を燃やす 火消しの娘 それでなくてもややこしい (都) 
へ:偏屈気弱 病は気から 嫁の器量でもつお店(たな) (都) 
と:豆腐水 張って崩れをふせぐ知恵 (川)