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番外編 〜愛宕神社・出世の石段に挑む〜
by みずは

 ビビさんのいろはにお江戸で愛宕神社について書かれているところを読んで、本当の愛宕神社ってどんなところだろうと疑問に思った。思い立ったら、即、行動!…という訳で、愛宕詣でに出かけた。

 1月25日。当日は天気が良く、散策にはもってこいの日だった。地下鉄日比谷線神谷町駅から桜田通りをしばらく歩いて右手の細い道に入ると、お寺が何軒も続いている道になった。最初は同じお寺なのかと思うほどだった。でも、帰って来てから阿茶さんととさんの企画「飛脚人、今日も走る!」の第2回目の地図を見ると、昔からたくさんの小さなお寺があったことが分かる。

 その通り沿いに歩いていると、「神社参道」の文字を発見し、そのまた少し先まで足を進めて行くと、あった、あった、愛宕神社! 確かに急な階段が目の前にどーんと構えて待っている。これが出世の石段、男坂かあ。一番下に立って見上げると、「うわーっ」という言葉にならない心の叫び声が聞こえる。まるで、石段から「どうだ、昇れるか?」と挑戦状を叩きつけられるような印象を受けた。「いいわよ、昇ってやるんだから!!」 よしっ、と心の中で気合を入れて昇り始めた。

 石段に挑み始めて、一段一段の段差が見た目以上に大きいことに気が付いた。日頃の運動不足をしみじみ痛感させられる。最後の方は太腿が悲鳴を上げ始めているのがわかった。息切れしながらも無事昇りきれた時はほっとした。ちょっと清々しさを感じた。でも、ドラマの中の設定とはいえ、こんな階段を3回も昇り降りをするの?(笑) いくらなんでも無茶苦茶な、と思ってしまった。昇ることはできても、下を見るだけでも足が、この石段を降りることを拒んでいた。

 
 

 境内は、人もまばらでとても静か。大きな神社ではないけれど、木々に囲まれ、鯉が優雅に泳ぐ池のある空間は、神道という宗教に親しみを感じさせてくれるかのようだ。耳をすませば木々のおしゃべりや池の波音が聞こえてくるのではないか、そんな気になるような風景が広がっている。梅の花も咲き始め、春が近いことを知らせてくれた。

 でも、哀しいかな、ゆったりとした気分には浸れなかった。聞こえてくる車や電車の喧騒、そして何よりも周りを見渡すと愛宕山を見下ろす高層マンションやビルが東京の今を私につきつけてくるのだ。そういえば、階段の下も見事な無料駐車場になってしまっていたし、これではいくら由緒がある神社でも風情がなさ過ぎるではないか。

 
 
 

 そんなトゲトゲした気持ちになっていた時、境内の外にいる猫たちを見つけた。陽だまりにみんなでひなたぼっこをしている猫たちは、一匹一匹思い思いの場所で好き勝手にしている。じっと動かない猫もいれば、私がカメラを構えていることに気が付いてポーズを取る猫もいる。「いいんだよ、小難しいことを考えなくても」と言わんばかりの彼らの態度に、ふっと気持ちが緩む。御府内で一番高い場所としての光景は今は見られなくなってしまったけれど、愛宕神社が醸し出している雰囲気は暖かな自然を身近に感じさせてくれる心地よい小さな庭。帰る時はその“庭”を横切って女坂を降りた。

 
 

 機会があれば、勇気を出して出世の石段を昇り、この境内に入ってみてほしい。山の神様と水の神様が迎えてくれるから。ちなみに、男坂も女坂もパスしたい人は、車で山の上まで行けるのでご心配なく。愛宕山の上にあるNHKの放送センターは、私が行った時には改装をしていたが、今は改装が終わって2月1日から再びオープンしているらしい。そこも見てみると面白いのではないだろうか。