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  第5回『最後の恋文』  
  あらすじ  
『最後の恋文』('03.2.14放送)
by みずは

 ようっす!皆、元気か? 夜中に店を抜け出して、吉原で尋ね人の人相書きを配った帰り道に、奴らに捕まっちまった。そこをまどかが通りがかった。よう、まどか! 奴らをうっちゃったし、よし、話はすんだ。逃げよう! 走って行った先の材木置き場にまどかと二人で隠れていたら、まどかの奴、「あいつら何者だい?」だの色々と詰め寄ってきやがる。しかも耳元で言いやがって…ええい、こそばゆい!! よし、竹庵先生のところで会おう。奴らをまいたらおいらも行く。あらよっ!

 竹庵先生のところに着いたら、竹庵先生が十六屋で吉原の遊女たちの文を運ぶ仕事をしたらどうかと言って下さった。今日、まどかはたまたまその仕事をしたと言う。だがなあ、おかみさんがそれを引きうけるかどうかはわからねえ。

 そんな話をしている時、外で物音がして猫が鳴いた。おつやさんが見に行ったところ、誰かがこっちを覗いていたような…と言う。もしかして…! おいらが外を覗きに行ったら…やっぱり。まどかはおいらのことが心配だ、氏素姓を話してくれと言う。もう少し待ってくんねえ、まどか。先生もおつやさんも。隠し通すつもりはねえ。だが…、だがなあ。おいらの心が一つに決まるまで、もう少しこらえてくんねえ。頼む!

 竹庵先生のところからの帰り、十六屋の前まで来ると、奴らが店の前ではりこんでいやがる。無理もねえ、十六屋の屋号がへえった半纏を羽織っているんだ。はりこまれてても仕方ねえ。まどかの奴、不安気な顔しておいらを見ている。なあに、明日の朝には目立たねえように戻るよ。仕事には差し障りなしだ。じゃあな。…と走り出したところでまどかに引きとめられた。まどかが懐から出したものは…かんざし? 聞けばまどかがおかみさんに頂いた物らしい。すまねえ、かんざしは女の心の証しだと言うよな。…と言ったら急にまどかの奴、大声を出しやがった。ばか、静かにしろよ! 奴らに見つかるじゃねえか。おまえじゃなくて、おかみさんの真心が、だよ。

 明くる日の夕刻、越前屋さんの前にまどかがいた。どうやら風花さんに届ける返し文を冬吉っつぁんが書いている最中らしい。いやあ、道すがら考えたんだがな、恋文や起請文は吉原の花、すたれることはねえ。それを十六屋でやるってのはどうだい、まどか? まどかはおかみさんが許すか気にしているらしいが、なあに、今日は話だけよ。そこへ冬吉っつぁんが返し文を持って出て来て、まどかに渡した。それと、「戌の刻とだけお伝え下さい。それだけで風花さんはわかってくれますから。」だとよ。くーっ、やるもんだねえ。

 吉原に着いてまどかが風花さんに冬吉っつぁんの返し文を渡した後、まどかとおいらは恋文屋に寄って、恋文屋の代行を許してもらいに行ったが、看板料はいくらかと聞かれちまった。それは、おいらの一存では決められねえ。言葉を濁していると、外から松屋の風花が死んだという知らせが…何だって?!

 松屋さんに行ってみると、風花さんが横たわっていた。まどかはしゃがみこんで泣き出しちまった。これは相対死に、心中だって?! じゃあ、冬吉っつぁんは? おいらたちは急いで越前屋さんに向かったが、時既に遅し。冬吉っつぁんは堀へ身投げし、亡骸は番屋で取調べ中だとのことだ。まどかは自分のせいだと泣きわめいた。そいつは違うぞ!! 越前屋さんはおいらたちを中へ入れてくれ、冬吉っつぁんの書置きを見せてくれた。まどかの代わりにおいらがそれを読んだんだ。それには、半年前に初めて吉原に行った時に風花さんと出会ったこと、風花さんは幼馴染のおみよさんだったこと、風花さんが大門を出られた時に一度だけ富士見坂の茶屋であったことなどが記されていた。そして、思い出の品であるくしとすずを、二人が小さい頃よく遊んだ富士見坂の木の下に埋めてほしい、と結ばれていた。

 翌朝、おいらたちは冬吉っつぁんの遺言通り、くしとすずを富士見坂の木の下に埋めたんだ。まどかはまだ思い詰めた顔をしている。まどか、心中はほめてやるのが手向けなり、っていうぜ。二人の恋は、この世ではなくあの世で成就したんだ。お前は風花さんと冬吉っつぁんの心を立派に取り持ったんだよ。そしたらまどかは死ぬ勇気があるなら一緒に逃げてほしかった、どんなことをしても生きてほしかった、と言うんだ。死ぬことが本懐だってこともあるんだよ。

 おいらはまどかに身の上を洗いざらい話すことにした。俺は、本当は武士だ。名前は勝鬨(かちどき)彦太郎。俺の家は直参旗本で出陣首役の家系だ。今や異国との戦はもはやさけられない。戦が始まれば、俺は真っ先に将軍様に首を差し出さなければならないんだ。

 俺には一人弟がいる。半年ほど前、俺ははやり病にかかり、危ないと言われた。俺にもしものことがあれば自分に首を刎ねられる役目がまわってくると考えた弟は逐電した。運良く、俺は快気した。俺が首を切られれば、弟が家督を相続できる。哀れな弟は、俺が快気したのも知らず、未だに逃げ回っている。俺は弟を探し出して、お前の首は安泰だと知らせたら、明日にでも屋敷に帰り、お沙汰を待つつもりだ。

 まどかはおかしいと言って聞かない。気持ちはありがたいが、まどか…。

「私は折角見つけた仲間を…好きな人を死なせたくないんだ!!」 

 そういうなり、まどかは走り出した。おい、待てよ、まどか!!